私のお気に入りのお散歩コースのひとつ京王線柴崎駅エリア。
各駅停車しか止まらない小さな柴崎駅周辺は、いつも元気いっぱいの店主がいる八百屋、ずっと昔からあるであろう喫茶店や電気屋、謎の釣り堀、おそらくお店を構えた当時から値上げしていない激安定食屋など歩いているだけで好奇心がくすぐられる風景が広がっています。
そんな柴崎の古き良き町の中に、いきなり現れたお洒落なガラス張りのお店。
外観はもちろん、ガラスの向こうにある内装もかなりイケているので気になってはいたものの、カフェなのか何屋さんなのか分からず、入る勇気が出ないまま半年が経過。ついにその扉を開けてみると、日本に数えるほどしかないめずしいお店だったのでご紹介します。
店の名前はポンチキヤ。
「ポンチキ」という名にピンときたあなたは相当なヨーロッパ好きか、もしくはスイーツマニア。
日本に数店舗しかないポーランド料理専門店“ポンチキヤ”
こちらのお店はなんとポーランド料理(主にスイーツ)の専門店でした。
「ポンチキ」とはポーランドの国民的スイーツの名称。
このお店のオーナー兼シェフである坂元萌衣子さんは、作曲家のショパンが好きで大学でポーランド語を専攻、大学中にポーランドに留学した経験を持ちます。
その時に毎日のように食べていたポンチキなどポーランドの文化を日本で紹介したいと、修行や勉強を重ね、移動販売やケータリングを経て、今のポンチキヤをオープンしたそうです。
坂元さんのポーランド愛は強く、留学から帰国後も毎年のように訪れ、ポンチキヤのブログではポーランドレッスンブログがなんとレッスン80も更新されています!
そんな坂元さんが作るポンチキは本場ポーランド人も「ポーランドの専門店にも引けを取らないくらい美味しい」と絶賛するほどだそうです。
まるでヨーロッパに瞬間移動したような店内
扉を開いて中に入るとそこはまるでヨーロッパ。
店内はアンティークのような雰囲気で、お店のあちこちにカラフルなポーランド雑貨が並んでいて思わず歓喜の声を上げそうになるほど可愛い!
落ち着いたくすみピンクカラーの壁紙とアンティーク調のインテアリア雑貨のバランスが絶妙です。
お店の一角に並べられたポーランドのマグカップ、ポーリッシュマグ。
ぷっくりとした愛らしい形はポーランド食器独特のフォルムで、壁にかけられたカップはどれも見れば見るほど味があって目移りしてしまいます。
難しいこと抜きにして、ただ単純にめちゃくちゃ可愛い。動悸がするほど可愛い。
マグカップだけではなく、食器や雑貨もところ狭しと並んでいます。
食器いっぱいに花柄やドット柄が描かれているポーランド食器(ポーリッシュポタリー)は、テーブルに並べるだけでテーブルコーディネートをしたように華やかになります。
しかもポーランド食器ってとっても丈夫で、繊細に見えて普通にオーブンにも使えるものも多く、見た目だけじゃなく使い勝手が良いところも魅力。
これからの季節に嬉しいポーランド製の入浴剤やハンドクリーム、ワセリンも!
ワセリンは店主の坂元さんが愛用していていつかお店に置きたいと考えていたもの。
デザインもとっても可愛いですが、防腐剤など無添加の原材料100%の安心安全のワセリンだそうです。
ポンチキヤのショーケース
何より、ポンチキヤの食べ物が並ぶショーケース。
実は私、ヨーロッパが大好きで4カ月程かけてヨーロッパ大陸23カ国を旅したことがあります。もちろんポーランドも訪れました。
ヨーロッパには、町の至る所に小さなパン屋さんがあるのです。
雰囲気は全然違うのですが日本でいうとたばこ屋のように狭いスペースに商品が並んでいて、欲しいパンを伝えると、店主がショーケースからそのパンを出してくれます。
ポンチキヤのショーケースはまさに私がヨーロッパで見たアレでした。
見た瞬間に懐かしい記憶が鮮明に蘇り、心が躍ります。
しかもそこに並ぶのはポーランドの食べ物。
本当に、ヨーロッパにきたみたい。
ポンチキは日本でいう“おにぎり”!?
ポンチキはポーランド人にとって国民食のような存在。
日本でいうあんドーナツのような食べ物で中にいろんな味のジャムなどが入っているスイーツです。ポーランドでの一番オーソドックスな味は薔薇のジャム。
ポンチキは生地にこだわっていてドーナツより卵、牛乳、バターをたっぷり贅沢に使っているので生地自体がリッチな味わい。何も付けなくても生地だけでも十分洋風スイーツで、パクパク食べられます。しっとりしたあんドーナツと違い、ふっかふかです♪
ポーランドでは、専門店はもちろんキヨスクやカフェ、スイーツショップなどどこにでも置いてあります。日本でいうとおにぎりのような存在かもしれません。
もちろん家庭でも作られていて、みんなおばあちゃんが作るポンチキが大好き。
1日で1億個のポンチキが消える“脂の木曜”
ヨーロッパなどキリスト教徒が多い各国には断食直前の火曜もしくは木曜に甘くて脂っこいものをお腹いっぱい食べまくるという習慣があります。
ポーランドではその日のことを“脂の木曜”と呼んでいるのですが、その日は国民がポンチキを死ぬほど食べます。
ポーランドには数え切れないくらいのポンチキ屋がありますがその日はどこも行列ができるほど、みんながポンチキを買い求めます。もちろん、必ずしもポンチキでなくても良いのですが、多くの人がポンチキを選び、なんと、ひとり10個〜20個ほど買って食べるそうです。
ポーランドの本格料理を食べる
現在ポンチキヤは新型コロナの影響でイートインが出来なくなっていてお持ち帰りのみ。
今回はポーランドで王道の薔薇ジャムを使ったポンチキ(320円)とポーランドソーセージのサンドイッチ(290円)を購入してみました。ワクワク。
ポンチキ(薔薇ジャム)
丸っこいフォルムのポンチキは、持ってみると思った以上にふわっふわで軽い!
上にかけられら甘いソースとスライスアーモンドがいい感じです。
半分に切ると薔薇のジャムがトロリと出てきます。
私の切った場所がたまたま悪くてジャムが少ししか入っていないように見えますが、実際は後ろにたっっぷり詰まっています。
切った瞬間にこれまで閉じ込められていた薔薇の香りが待ってましたとばかりにフワッと広がります。
味は……。
めちゃくちゃ美味しいです。
バターの香り溢れるふわふわの生地、薔薇そのものを口に入れたと錯覚するほどフレッシュな薔薇の香りと味。ジャムはしっかり甘いのですが爽やかな薔薇の味で甘ったるさは全くなく、むしろ何個でもパクパクいけます。
生地はドーナツ生地というより、いま流行の高級食パンに近い味わいと食感です。
薔薇ジャムが本当に美味しくて、単品で購入してスプーンですくって食べたいくらいです!脂っこさも全く感じませんでした。これは美味しい!!
白いソーセージのサンドウィッチ
ポンチキヤには、ポンチキ以外にもポーランド料理があります。
今回チョイスしたのは、白いソーセージのサンドウィッチ。ポーランドの白ケウバサ(ソーセージ)が使われています。程よい歯応えがあるソーセージは噛んだ瞬間にハーブの香りが口に広がります。
肉々しさやお肉の旨味はしっかりありつつ、しつこさやクセはなく、とっても食べやすい!
野菜がたっぷり入ってるので罪悪感なくペロリと食べられました。
ちなみに、サンドウィッチにはポンチキの生地が使われていて、これまたふかふかで美味しいです。贅沢!
柴崎の一角にある都内で感じるヨーロッパ
新型コロナウイルスの影響で海外旅行に行きたくても行けなくてムズムズしている人はたくさんいるでしょう。柴崎に行けば、東京都内でポーランドを感じることができますよ。
目と口で満喫するヨーロッパ。
ポンチキという絶品スイーツを知っている人も、この記事で初めてその存在を知った人も、是非ポンチキヤへ♪
店舗詳細・アクセス
住所 | 調布市菊野台1-27-20 |
最寄り駅 | 京王線柴崎駅から徒歩2分 |
営業時間 | 11:30~20:00 (16:00~17:00はクローズ) |
定休日 | 水曜・木曜 |
テイクアウト | 有 |
電話番号 | 電話受け付けなし |