財閥家の庭園から造園され、自然の魅力に溢れる「殿ヶ谷戸庭園」
国分寺駅前に立地する「殿ヶ谷戸庭園」。長い歴史を感じさせる園内は、普段の生活ではなかなか感じられない自然の魅力にあふれていた。
今回はそんな殿ヶ谷戸庭園について、各スポットへ焦点を当てて紹介していく。
それぞれ、足を運んでこそ魅力を感じられる場所ばかり。ぜひ、実際に行ってみてほしい。
国分寺駅前の賑やかな場所に位置する美しい庭園
殿ヶ谷戸庭園は大正時代から歴史を重ねる庭園だ。都立文化財9庭園に指定されており、庭園マニアや写真家も多く訪れている。
一時は都市開発の危機にさらされつつも、平成23年9月、国指定の文化財に認定。園内には自然豊かな散策コースや資料館があり、落ち着いた雰囲気の中で美しい自然を楽しむことができる。
受付前に咲く季節の植物
殿ヶ谷戸庭園入口から見て右側には、「季節の植物」が飾られている。季節ごとに違った植物が植えられており、庭園の遊び心を感じることができた。
そのまま先に進むとサービスセンターがある。ここで必ず入場券を購入してから入場しよう。
ちなみに殿ヶ谷戸庭園には「無料入園日」も存在する。それはみどりの日と都民の日。この2日は無料で入場できるため、この日を狙って行くのもおすすめだ。
大芝生を通り、萩のトンネルをくぐる
さっそく入場券とパンフレットをもらい、園内へ入る。基本的にどの道を歩くのも自由だが、今回は入って右手の道から進むことにした。
まず目に入るのは、細やかに手入れされた大芝生。そよそよと涼しい風が流れてきて、とても心地良い。
そのまま進んだところにあるのは萩のトンネル。中に入ると、萩の香りと緑のキラキラした景色を楽しむことができた。この日は大変日差しが強かったのだが、トンネル中は風も吹いておりとても涼しかった。
向かいからやってきた車いすの老夫婦も、思わず笑顔をこぼしながらトンネルをくぐっていた。その姿は自然をめいっぱい楽しんでいるようで、どこか温かいものを感じた。
一応トンネルを通らない散策路も用意されているが、ここはぜひ通ってみてほしい。
花木園を抜けて竹の小径へ
トンネルを抜けると、花木園にたどり着いた。季節によって様々な花が咲いているこのスペースは、カメラマンにも大人気。何人かは足を止め、植物をじっくり撮影していた。
こちらは6月が見頃のアジサイ。日の光を浴びて、きれいに咲いている。
旬は過ぎてしまったようだが、鮮やかな色が魅力的だ。
ふと芝生に目をやると、小さいキノコがいくつか生えていた。小さいながらも着実に成長している様子は、見ていて心躍るものがある。
さらに進んだところにあるのが、竹の小径。生えている竹たちは、まるで天まで続いているよう。その圧倒感についつい、足を止めてしまった。
ちょっと休憩したい人にもぴったりのこの小径、生命力をひしひしと感じられるスポットになっている。一度足を止めて、そのパワーを感じてみてはどうだろうか。
次郎弁天池には絶景ポイントも
そのまま進むと、次郎弁天池にたどり着いた。池にはアメンボやコイが泳いでおり、時折水の音が聴こえる。
なごみつつも先にあった石段を少し登ると、小さいスペースを発見。ここから眺めた弁天池は、大変美しかった。それがこちらの写真だ。
弁天池奥の石段を少し登り、左にそれたスペースから撮った景色だ。そこには、この写真では伝えきれないほどの絶景が広がっている。
近くに建てられている馬頭観音と合わせて、ぜひ見に行ってみてほしい。
茶室【紅葉亭】とイロハモミジ
そして、次郎弁天池から上を見上げると紅葉亭が佇んでいた。紅葉亭は大人数でも使用できる茶室で、先ほどの弁天池とイロハモミジを一緒に見下ろすことができる。
紅葉亭の裏には、鹿おどしがあった。こちらでは、水の流れる音と鹿おどしのカラッとした音を楽しむことができる。日本的な、風情を感じたい人にぴったりのスポットだ。
紅葉亭は、以下の料金で予約できる。
9:00~12:30(午前) | 13:00~16:30(午後) | 9:00~16:30(1日) | |
紅葉亭(30名) | 4000円 | 4000円 | 8000円 |
茶会や句会に使用できるため、興味のある方はぜひチェックしてみてほしい。
殿ヶ谷戸庭園で重ねられた歴史
最後に、殿ヶ谷戸庭園内の展示室へ足を運んだ。
展示によると、殿ヶ谷戸庭園は国分寺駅前の再開発で取り壊しも検討されたそうだ。しかし、当時の住民たちは住民運動を開始。それによってこの庭園は壊されることなく、今に至っている。
美しく、どこか身の引き締まるような空気感を持つこの庭園は、国分寺の住民たちによって守られてきたのだ。
展示室には、殿ヶ谷戸庭園を守るため行われた一連の活動についても細やかにまとめられている。こちらを見れば、手入れの行き届いた園内、ゆるやかかつ厳粛な雰囲気の大元…その歴史を感じることができるだろう。
殿ヶ谷戸庭園に行く前に
ここで、殿ヶ谷戸庭園を訪れる際の注意点についていくつか挙げていく。
まず、殿ヶ谷戸庭園の入場料は以下の通りだ。
個人 | 団体(20名以上) | 年間パスポート (殿ヶ谷戸庭園) | 年間パスポート (9庭園共通) | |
一般 | 150円 | 120円 | 600円 | 4000円 |
65歳以上 | 70円 | 50円 | 280円 | 2000円 |
無料 | ・小学生以下及び都内在住・在学の中学生 ・身体障害者手帳、愛の手帳、精神障碍者保健福祉手帳または療育手帳持参の方と付き添いの方 |
車いすの方でも入場は可能だが、入ることのできる場所は限られている。
具体的には入り口から萩のトンネルまで、反対方向では紅葉亭までが入場可能だ。公式サイトや入場の際もらえるパンフレットにも記載があるため、予め確認しておこう。
続いて、殿ヶ谷戸庭園にペット連れはNGだ。通常の公園のようなペットの散歩等には利用できないため、注意したい。
最後は庭園内について。庭園の中には、レストランや売店など飲食のできる施設は用意されていない。特に夏は脱水の可能性もあるため、必要な飲み物等を事前に準備することが大切だ。
その他、公式サイトに諸注意が記載されているため合わせて確認しよう。
詳細情報・アクセス
殿ヶ谷戸庭園は、JR中央線「国分寺駅」南口から徒歩2分で向かうことができる。駅前とは思えない静かな雰囲気で、長い歴史や自然のエネルギーを存分に感じられる庭園だ。
しばらく気を張っている方、自然の力強さや美しさを感じたい方は、ぜひ訪れてみてほしい。
住所 | 東京都国分寺市南町2-16 |
電話番号 | 042-324-7991(受付時間は9:00~17:00) |
最寄り駅 | 中央線国分寺駅・南口から徒歩2分 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
休園日 | 年末・年始(12/29~1/1) |
無料入園日 | みどりの日(5/4)、都民の日(10/1) |